塾というのは、もともと学問の根底を学ばせるような学校が、全部は無理と受験指導は塾にお任せというために自然発生的に行われるようになった分業です。どちらかですべてまかなえるわけがありません。この逆転現象は当然起こるべくして起こっていったのです。ほとんどの最難国立大学に進んだ名門進学校卒業の学生に、学校と塾ではどちらが面白かったか聞くと、ほとんどの学生が「塾の方が役に立った」「塾で教わった数学は面白い」といった言葉が返ってくるそうです。また友達という視点でも考察すると意外なことに気づかされます。学校はどちらかと言うとドングリの背比べ的な「平等」を旨とするのに対し、塾は千差万別。いろいろな受験生が集まってきます。在校している学校ではお山の大将気分でいた受験生が、思いもつかない程優秀な受験生に巡り合い、自分の力の無さを実感しさらなる励みにしたとか、いろいろな考え方をもった同年代の受験生に触発されたりと、学校では得られない経験をしたでしょう。このような「同じ目標をもった友達」を得る大事な場ともなっていたのではないでしょうか。