中学の入学試験において問われるのは、暗記力ではありません。知識は持っていて当然であり、その知識を論理力、思考力、想像力で活用する力が求められます。もちろん入学試験を用いずに頭の良さ、柔らかさを判別することが出来るのであれば、試験の存在意義は無いでしょうが、現実には試験が課されます。従って、どんなに頭がよくても、準備せずに合格することはできない仕組みとなっています。そのため、受験に臨む子供たちは、早くから塾に通い始めます。塾では合格するための知識やスキルが授けられることになります。塾に通わなければ、頭の良さを証明する術を身に付けることが出来ません。武道で喩えるならば、「型」を身に付ける必要があるのです。
知識を詰め込むだけでは、「型」の習得には至りません。単なる筋力トレーニングで終わってしまいます。そのため、塾では知識を身に付けると同時に、その知識の活用方法を学び取ることになります。この「知識の活用方法」こそ、真の学力に他なりません。塾を卒業後も、この学力は大いに役立ちます。本物の塾は、中学受験を単なる通過点であると捉えているのです。塾の講師の目標は、こうした理念を基に、生徒を合格させることです。しかし生徒と言っても子どもですから、塾の理念や大人の言うことに共感して勉強することなどありません。それどころか、志望校合格のための学力と、現時点の自分の能力とを比較して、計画を立てることすら叶いません。大学受験生とは違い、ただただ勉強させられているわけです。
この状態の子どもに対して、「とにかく言うことを聞いて勉強しなさい」と命令しても、中々聞き入れてくれないでしょうし、子どももストレスフルな状態を強いられるでしょう。ではどうすれば良いのでしょうか。